信頼失う日米既存メディア

28年11月24日配信の朝日新聞DIGITALの記事を引用する。


■(論壇時評)トランプ現象 合意より分断、悪循環生む 歴史社会学者・小熊英二

 9月に全米10大学で講演した。知識人達は「周りにトランプ支持者なんて誰もいない」「ヒラリーが勝つだろう」と言っていた。大学では「多様性」が合言葉で、確かに肌の色や出身国の多様性はあったが、当然ながらみな高学歴だった。私は「これは危ないな」と思った。

 今回の大統領選では階層・人種・居住地など様々な分断が露呈した。グローバル化で没落した中西部の低学歴白人男性に、トランプ支持が多いともいう。選挙予測が外れたのは、専門家がこうした分断を軽視したためだともいわれる。

 だが、そうした分断が知られていなかったわけではない。日本でも2年前、週刊東洋経済の特集「分裂する大国アメリカ」は、深刻な経済格差と様々な分断を伝えていた〈1〉。だが当時は、まさに分断が深いがゆえに、トランプの勝利はないだろうと考えられていたのである。

 2年前に次期大統領候補として挙がっていたのは、女性だが軍事に強いヒラリークリントン、共和党だが妻がメキシコ系のジェブ・ブッシュなどだった。他の候補も、政策では穏健保守で属性ではマイノリティーという人が多かった。なぜかといえば、米国は社会の分断が激しいがゆえに、そうした候補しか当選できないと考えられていたからだ。

 実際に2012年の大統領選で、共和党のロムニー候補は出口調査で白人票の59%を得たが敗北した。翌年3月に共和党が発表した分析は、多様な有権者を取り込む必要を述べていた〈2〉。その観点からすれば、社会の分断を煽(あお)るトランプが勝てるはずはなかった。

     *

 なぜトランプは勝ったのか。現段階で言える範囲の私見を述べてみたい。

 まだ集計中だが、トランプの総得票数はクリントンより少なく、12年のロムニーと大差はない。投票率も顕著に高いとはいえないようだ。少ない票で効果的に各州の選挙人を獲得したといえる。

 またトランプ支持者は「低所得の白人男性」に限らなかった。米CNNの出口調査では、トランプ票は中所得以上に多く、大卒も少なくない。階層は低くないが、アメリカ社会が悪くなったと考える人がトランプに投票した。

 この二つから、トランプ勝利の最大の背景は政治不信だと考えられる。政治不信が、過熱報道ほどには盛り上がらない投票と、幅広い階層の「反クリントン票」となって表れたのだ。「トランプ氏の勝利というよりクリントン氏の敗北」という山口二郎の指摘は妥当と思われる〈3〉。

 実は米国の政治不信は以前からだ。14年の連邦議会選挙の投票率は36%の低さだ。内外の課題が山積なのに、二大政党の対立と非難合戦で政治が動かず、連邦議会の支持率は10%台前半まで落ちていた〈4〉。「嫌われ者の対決」といわれた今回の選挙はその延長上である。経済格差は重要な背景だが、現状に無策な政治への不信の方がずっと広範なのだ。

 投票率低下と政治不信は日本でも共通だ。トランプはSNSを活用して対立を煽り、米国のテレビは暴言を連発する彼を映して視聴率を伸ばしたが、橋下徹・前大阪市長はこうしたトランプの手法に理解を示している〈5〉。選挙後に「日本維新の会」の松井一郎代表は、「率直な言葉で国民に直接語りかける政治姿勢を、一概にポピュリズムと非難すべきではない」とコメントした〈6〉。

 橋下が台頭した背景には、大阪経済の停滞があった。米国では「都市と中西部の分断」として表れたグローバル化の影響は、日本では「東京一極集中」として表れる。そして松谷満の調査では、低所得の非正規労働者に橋下支持が多いというのは俗説で、むしろ管理職や正社員に支持が多く、政治不信や官僚不信との連関が強いという〈7〉。

 社会に格差や分断があるとき、それへの不満が選挙で表れる。そのこと自体は否定すべきではない。だがそうした不満や不信が、分断を煽る形で表現されるのは問題だ。なぜなら選挙は社会に合意を創(つく)る手段であって、分断を助長して選挙に勝つのは本末転倒であるからだ。

     *

 実は人種や階級の分断を助長して選挙に勝つ戦術は、南部白人票を狙った70年代以降のアメリカ共和党や、イングランド中産層を狙った80年代のイギリス保守党などがとったものだ。とくに投票率が低下すると、少数でも熱心な有権者をつかむ戦術が有効なことがある。だがそれは、さらなる分断、政治不信、投票率の低下という悪循環を生む。

 そのうえトランプの特徴は、敵を攻撃する際の派手さとは対照的に、自分の支持者像が極めて曖昧(あいまい)であることだ〈8〉。なぜなら、敵を攻撃することで広範な人々を糾合しているだけで、明確な支持層などないからだ。こうした政治家は、次々と敵を作って戦いを演出するだけで、明確な方針を持たないことが多い。

 またこうした戦術は、その国の国際的威信を低下させ、他国の政治にも悪影響を与える。「トランプの勝利は、アメリカのイメージを粉々に破壊した」というインド国会議員の言葉、「アジアも影響を受けるに違いない。これから世界で何が起こるのか、不安でたまらない」というシンガポールのタクシー運転手の言葉は、それを象徴している〈9〉。

 20世紀に始まった普通選挙と政党政治の時代は、曲がり角を迎えている。その一方で社会の合意を創る必要は、かつてないほど高まっている。分断を煽る選挙戦術は、未来を拓(ひら)く道ではない。



引用ここまで。


この人も知識人であるが・・・周囲の人たちが「ヒラリーが勝つ」と言っていたことになぜ「これは危ないな」と感じたのか。それはおそらく彼もヒラリーに肩入れしていたということなのだろう。

彼の言うとおり、トランプが勝った要因よりヒラリーが負けた理由を考えた方が容易だという議論には同意できる。この選挙は「史上最悪の女vs史上最低の男」の対決だったのだ。そして、最低の男が勝った。それだけの話だ。
さらに氏の指摘する「政治不信」が既存の政治家であるヒラリーに対して不利に働いた、という点にも一見、合理性があるように思える。

また、以前から低所得かつ低学歴の白人労働者層にトランプ支持者が多かったのは事実だけれど、じつは高学歴者、高所得者の中にもいわゆる”隠れトランプ”と呼ばれる支持者が多くいたのも事実らしい。マスコミはこの事実を隠していた。隠蔽、歪曲といってもいいだろう。

日米メディアは総力を挙げてトランプを叩き、ヒラリーを持ち上げた。

トランプについては彼に都合の悪い情報ばかり取り上げ、ヒラリーについては彼女に都合の悪い情報を徹底的に隠蔽した。ニューヨーク・タイムズワシントン・ポストなどは社説で
「トランプを大統領にさせてはならない」
と主張する有様だ。これを選挙期間中に堂々とやるんだからどうしようもない。

つまり氏の今回の大統領選についての思考の中で唯一欠けているのが政治不信以上に蔓延する”マスコミへの不信感”だ。

まるで”米国版椿事件”のようだが、日本のメディアからはそのような問題提起はまったくなかった。さらにヒラリーにとって都合の悪い情報を徹底的に隠蔽したのは日本のメディアも同じだ。

選挙期間中にクリントン財閥の”黒い闇”を暴いた著書が売り上げ1位になった。ところがニューヨーク・タイムズワシントン・ポストも書評ですら取り上げなかった。

こういう報道を繰り返していたら、政治不信異常のマスコミ不信を招くだろう。

また、氏の私見では米国社会の分断を煽ったのはトランプだといいたいらしい。それは違う。

米国の分断を煽ったのはメディアなのだ。



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